マンションの価額は同じ鉄筋コンクリート造の70㎡のマンションでも購入価額は立地条件により大きく異なります。 都心の駅から近いマンションなら、8000万円、地方のマンションなら3000万円、というケースもあり得ます。
一般的にマンションの購入価額は、土地の代金や立地条件(駅から何分とか都心にあるとか)が含まれており、立地条件によって大きな価額差が生じます。その立地条件による価額差は主に土地の値段の差になり、同程度の建物では実際の建築費には あまり差はありません。
ですので、火災で焼失した場合の復旧費用は建物の規模や建築材料が同程度なら、都心のマンションも地方のマンションも建築費には大差はありませんから、再調達価額(新築費)はほぼ同じくらいの額となり、火災保険の保険金額も大差はないという事になります。
火災保険とは、自分の所有する物にかけるのが一般的です。 マンションの場合の所有形態は「区分所有」 になり、ひとつの建物の1戸室を所有(専有)する事になります。
ここで専有という言葉を使いましたが、専有とは、その所有者のみが所有するという事です。
これに対して、共用という言葉があります。これはマンションの居住者全員が共同で所有している所を言います。駐車場やエントランス、廊下や階段、郵便受 等が共用部分になります。
駐車場やエントランス等の共用部分は、マンションの管理組合が火災保険をかけるのが一般的です。
リビングルームは専有部分
エントランスは共用部分
ここで火災保険を一居住者ががかけるのかマンションの管理組合がかけるのか、つまり専有部分なのか共用部分なのか 判断が難しい部分があります。それは、隣室や上階、下階との境界にある壁や天井、床です。
隣室や上階、下階との境界にある壁や天井、床が専有部分なのか共用部分なのかは、各々のマンションが管理規約で決めています。
境界壁や上下の階層の境界床(天井)は共用部分で、クロス等から内側だけが専有部分という考え方を「上塗基準」といいます
境界壁や上下の階層の境界床(天井)の中心から内側を専有部分という考え方を「壁芯(真)基準」といいます。 ですので「上塗基準」より「壁芯(真)基準」のほうが専有部分の面積は広くなります。
上塗基準ピンクの部分が専有部分
壁芯(真)基準ピンクの部分が専有部分
登記簿では「上塗基準」の面積で表示され、マンション購入時のパンフレットには「壁芯(真)基準」の面積で表示されるのが一般的です。
不動産用語では、上塗基準を内法(ウチノリ)計算、壁芯(真)基準を壁芯計算という風に表現されますが、これは計算方法の表現であり面積がわずかに内法(ウチノリ)計算の方が少なくなりますが、火災保険の上塗基準は壁や境界床(天井)の建築費は保険金額に含まれず、クロスや、フローリングからの建築費になりますので、壁の中心の建築費が含まれる壁芯(真)基準より、約20%~30%安くなります。
購入予定のマンションの管理規約がお手元にあるような場合は次の事をご確認下さい。 オレンジで囲まれた部分の「専有部分等の範囲」の第7条2項に、「一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。」という文言があれば上塗基準になると考えられます。
第2章 専有部分等の範囲
(専有部分の範囲)
第7条 対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付
した住戸とする。
2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおり
とする。
一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
3 第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にあ る部分以外のものは、専有部分とする。
*「専有部分の建築費の計算方法」
実際の価額は売買契約書の消費税から逆算する方法があります。
売買契約書でご確認頂いた場合は、はっきりと土地と建物の値段が記載がない場合は、
(土地には消費税がかかりませんので、)消費税がかかっている金額が建物の金額ですので消費税から逆算して下さい。
上記で消費税が80万円の場合は次の様な計算になります。※消費税が5%の場合
建物金額 ○○円×0.05=800,000円
建物金額 ○○円=800,000円÷0.05=1600万円
*消費税から逆算した金額は専有部分と共用部分の持分割合分の合計の金額になりますので、 専有部分のみの金額は次のようになります。
上塗基準では消費税から逆算した建物(共用部分と専有部分の合計)の金額の約40%
壁芯(真)基準では消費税から逆算した建物(共用部分と専有部分の合計)の金額の約60%
が目安といわれています。
*上塗基準では壁や床は補償されません。 (内側のクロスやフローリングのみ補償範囲内です。)
この計算はあくまで平均的な計算例ですので、各マンションでそれぞれエントランスや駐車場の大きさは異なりますので、正確ではありませんので目安としてご参考にして下さい。
また、マンションの一戸室の保険金額の設定方法は、保険会社により、推奨する方法が異なり、また、この方法を採用できない保険会社もありますので、詳細はお問合せ下さい。